OB訪問の前に、5Fで相手の会社をよく知ろう

「OB訪問」の際の心構え

  • 「OB(OG)訪問」の季節になってきました
  • 訪問する相手との関係性にもよりますが、最低限、相手の会社のことは知っておくのがマナーですよね
    • いくら頭のいい社会人でも、前提知識の全くない人に話をするのは気を使います
  • 会社の風土や社員の雰囲気などについては、もともと学生の関心が高いものと思いますが、事業や仕事の中身についてはどうでしょう?
    • 事業や仕事の中身について、そもそも調べてすらいない人が多いのではないでしょうか
  • 企業側が準備した採用サイトをただ「読む」のと、1時間でもいいから自分から能動的に「調べる」のでは、理解度が全く違ってきます
  • 本稿では、どう調べたらいいのか?のヒントをひとつ紹介します


ファイブ・フォース(5F)とは

  • ファイブ・フォース(5つの力)とは、マイケル・ポーターが提唱した業界分析のFW
  • 業界の構造上の特徴、収益構造や競争環境について考察するためのものです
  • 本来は、企業が事業ポートフォリオの見直しや新規参入を検討する際に使用します
  • 今日はこのFWを「OB訪問」の前に使ってみて欲しいと思います


なぜ5Fがいいのか

  • もちろん、OB訪問において、相手先企業の「収益性」や「競争」環境についての考察が特に必要というわけではありません
  • しかし、5Fを調べることは、結果的に、その企業をとりまく環境の全体像がわかることになります
  • 「3C」でも良いのですが、不十分なことがあります
    • 実際に現場で働いているOBの方と話す場合、その方が向き合っている取引先はサプライヤー(売り手)かもしれませんし、B2Cに見えている事業が実はB2B2Cかもしれません(チャネル=買い手の存在)
  • そのため、ここでは5Fをおすすめします


5Fで考えるべき要素

  • 詳しくは世の中の文献に譲りますが、項目はこの5つです


  • 今回の目的は、OB訪問における対話の意味合いを深めることですから、分析の結果、企業や業界の批判をする必要はありません
  • この5つについて、事前に調べておけばよいのです
    • (分析したことやその結果は、OBの方に自分から語ったりせず、胸のうちにしまっておきましょう)



スマホメーカーの例

  • 5Fで分析の対象とする「業界」とは、どの範囲を指すのでしょうか?
  • 実際には、OB訪問の前にこれを使用する場合は、訪問先の方から見えている景色と合うよう、「ピントを合わせる」ことが重要です
  • 例えば、スマートフォンを作っている事業部にいるOBの方を訪問する予定だとします
  • この時に、ソニーやシャープといった、そのOBの方の「会社全体」を分析するのでは意味がない(というか、できません)ですよね
  • 今の時代、この世の中で、「スマホを作る」事業というのは、どういうことだろうか?ということを、ざっくり押さえておきたいわけです
  • 実際にスマホメーカーの5Fを考えてみましょう


競合を調べる

  • スコープ(範囲)は、国内ではなく世界で考えたとして、世界のメーカー別販売台数など調べます
  • wikipediaやまとめ記事に頼るのではなく、それからがソース(情報源)としている「1次情報」を調べましょう
  • この場合は、Samsung、Huawei、Appleなどの社名が出てきます


売り手を調べる

  • AppleがiPhoneの「サプライヤーリスト」を公開していますので、それを見てみます
  • 上の図では無作為にそこから抜き出していますが、本来はもう少し構造化して考えたいですね
  • どういう部品があるのか?どの部品の付加価値割合が大きいのか?はネット上や雑誌で様々な記事が出ていると思います。
  • シャープを買収した鴻海もiPhoneの製造メーカーとして有名ですから、買収の時に組まれていた特集などを読み返してみると理解が進みそうです


買い手を調べる

  • 学生からは一見、B2Cに見えるスマホも、日本においては、キャリアが端末を買い取って販売している例が多いはずです
  • 「ドコモショップ・auショップ」といった販売店も、学生から見ると「ドコモ・auが運営している」と見えているかもしれませんが、実は全然違います
  • はじめにスコープを(国内でなく)世界としたのであれば日本だけでなく世界の流通構造についてざっと調べておきましょう
  • iPhoneにおけるアップルストアの意味合いの大きさがわかると思います
  • 消費者を買い手と見る場合には、「どんな消費者なのか?」についても具体的に考えておきましょう


新規参入者を調べる

  • もともとスマホ端末のメーカーというのは容易に参入できる類の事業ではありません
  • しかし、それでも参入者がいるとしたらどんなメーカーなのか?それを考えるとしたら、過去の新規参入者を調べる、ということもひとつの方法でしょう
  • 例えば、新興国の国産メーカー、というのもひとつの切り口です
  • HuaweiやXiaomiも昔は新規参入者だったわけですから
  • すると、次はインドでしょうか?
  • インドの国産メーカーについて調べてみると、MicromaxやKarbonnといった社名が出てきます


代替品を調べる

  • あらゆる業界でデジタル・ディスラプション(破壊的イノベーション)が進む中で、OBの方が経営層でなくとも、この項目は関心が高いかもしれません
  • 日頃から新しい技術に触れている機会の多い学生が、OB訪問の対話の中でバリューを出しやすい領域でもあります
  • 訪問先企業の直近のベンチャーとの事業提携やCVC(ベンチャー・キャピタル)への出資などを調べてみて、どのような領域に関心を寄せているかを調べてみましょう
  • スマホを代替し得る技術としては、ウェアラブル端末やVR端末などが考えられるわけですが、そうしたところは学生が「使ってみた」肌触り感で勝負できる領域ですから、ここだけは敢えて主観で意見を言ってみるのもありだと思います


採用面接でも役立つ

  • この練習は、慣れておくとその後の採用面接でも役立つでしょう
  • 「イチ消費者」として見ていた「製品」が、「社会人」の目線から「事業」として見ることができるようになるからです
    • もちろん、実際にスキルをつけるのは社会人になってからでも良いのですが、企業の採用担当者も人間ですから、どうしても「共感」できるポイントが多い方が印象は良くなってしまいます
  • また、自分から能動的に「調べる」姿勢は重要です
    • 面接の最後の質問コーナーで、採用サイトを読んだ感想を言ってませんか?
    • 素直なことはいいことですが、昔に比べると「マニュアル人材」はもう不要、と考えてる企業も少なくないと思います




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