付加価値(バリュー)とは
- コンサルタントはよく、「バリュー」が「ある」とか「無い」とか言います
- ここでいう「バリュー」は、実は単純な「価値」の和訳とは違って、どちらかというと「付加価値」に近いです
- 付加価値というのは、「正味」の価値で、簡単に言うと自分(たち)の存在意義。自分(たち)が「いない」場合に比べて、「いる」場合の価値の「差分」です。
付加価値の概念はなぜ重要か
- 現代の世の中は、「利用できるもの」が溢れていて、これらを利用しない手はありません
- しかし、外部の資源に頼りすぎるあまり、「自分自身の価値」が相対的に下がっていることに気づかないこともあります
- 企業活動の世界はもともとある程度、他企業・他業界との協業を前提としていますから、「付加価値」という考え方があるのです
- 個人の世界も企業の世界に近づいてきたので、この「付加価値」という考え方を個人が採り入れる必要がある、というわけです
「桃カプレーゼ」の場合
- 例えばある人が「桃カプレーゼ」というメニューを考えたとします。
- 200円の桃と、150円のモッツァレラチーズを組み合わせて、500円で売れたら、「桃カプレーゼ」メニューの付加価値は150円というわけです
- もしこれが350円でしか売れなければ付加価値はゼロですし、200円でしか売れなければ付加価値はマイナスになります。
- 付加価値がマイナスということは、結果的に「余計なことをした」(おいしく食べられるはずの桃が、不味くなった)ということです
学生時代とは「評価のされ方」が変わる
- もうすこし学生生活に寄せて考えてみましょう。
- 授業で提出するレポートで、過去のものをそのままコピーして提出したとします。
- もともとA評価のレポートをコピーしてAをもらったとしても、成績はAですが、付加価値はゼロです。
- 「まる写しはマズイ」からといって、語尾を少しアレンジしてBになったとしたら、付加価値はマイナスです。
- 学生時代にはAやBと評価されていたことが、ゼロやマイナスになってしまう。
レポートのまる写しは「不正」?
- 「レポートをまる写しするような不正は、行わないから関係ない」と考える読者諸君もいるでしょう
- しかし、付加価値の観点からすると、「まる写し」は「不正」以前に「価値ゼロ」というだけです(※もちろんルールを破って他人の権利を侵害したりしてはいけません)
- 学生は「不正をしない」よう、よく訓練されていますが、「価値ゼロ」「マイナス価値」にならないようには訓練されていません。
「不正」よりも怖い「価値ゼロ」の罠
- それでは「価値ゼロ」というのは、例えばどういう時に起こるのでしょうか
- 「記事を調べてくれ」と言われて、グーグルの検索結果の上位に上がったURLを書類にまとめたとしたら、どうでしょうか
- 表計算ソフトが一瞬でできる集計を、手計算で一生懸命やったとしたら、どうでしょうか
- 「マイナス価値」はどういう場合に起きそうでしょうか
「出した価値」を測ることは難しい
- 付加価値は、「出した価値」と「仕入れた価値」の「差分」です
- 実際には「出した価値」を客観的に測ることが難しい場合も多いです
- 「桃カプレーゼ」の例のように、売り物があって、「いくらで売れた」ということがあれば明確なのですが、そうでない場合は、どうすれば良いのでしょうか
- ひとつのやり方は、代替手段から類推することです
- 「自分以外の誰かがやったら、いくらでできるのか?」ということです
- この「自分以外の誰か」というのは、機械でもいいです
- 今の時代は、機械が人間よりも優れた価値を出してしまうケースはどんどん増えていくでしょう
バリューベースで考える
- お気づきのように、付加価値は努力の量(かけたコスト)とは関係ありません
- それどころか、出した価値から「かけたコスト」を「引き算」するわけですから、努力が必ずしもいいものとは限りません
- 例えば、酷暑の中、重いミネラルウォーターをコンビニに行って買ってくることの付加価値はどれくらいでしょうか
- それを、バリューベースで考えることができますか?
- これはまた、別の機会にとりあげましょう。
マイナスが存在する世界
- 「マイナスが存在する」というのは、慣れない世界です
- 学校の「テストの点数」にマイナスはありませんでした
- アルバイトの時給にもマイナスはありません
- でも、付加価値にはマイナスがあります
- 慣れないうちは「こんなに頑張ってマイナスなんてやってられない」と思うでしょう
- けれど、「慣れない」世界というだけで、現実を受け入れてしまえば恐ろしいものではありません。「そういうもの」だと思えばいいのです
- 「自分の存在価値は(今回は!)、マイナスだった」「自分がいない方が良かった」と冷静に言えるようになることが、プラスへ向かう第一歩かもしれません
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